手軽な一揆の起こし方

エセ評論家の生活と意見

ポポロ広場で苦手なカルボナーラを食べたら認識が180度変わった

ローマ四日目の午後

 

1.地下鉄でポポロ広場へ

マッシモ宮殿、ディオクレティアヌス浴場と行って、もう歩き疲れてきたが、まだ共通券で行けるもう一つのローマ国立博物館のアルテンプス宮殿を目指す。

マッシモ宮殿、ディオクレティアヌス浴場はRepubblica広場周りにあって、ホテルから徒歩10分で行けたが、アルテンプス宮殿は離れている。テヴェレ川沿い、サンタンジェロ城の川の対岸あたりにあるため、Metro AでFlaminio駅へ。

https://maps.app.goo.gl/mYKtvKqxveEcCxLc6

Flaminio駅の名前のもとになっているのは、駅の横にあるフラミニア街道である。

アッピア街道がローマ街道の国道1号だとすると、他しかフラミニア街道は国道3号くらいだったか?ちなみに、現在はイタリアの国道3号線がフラミニア街道である。

出発点は、ポポロ広場だ。

ポポロ広場

上の写真に限らずだが、どうもローマで撮った写真には惜しいものが多い。

上のは、ぎりぎりオベリスクの頂点が切れてしまっている。

なぜこういう写真が多いかというと、ローマはスリが多いということで、周りを警戒しながらパパっと写真を撮ろうとして焦ってしまうからである。

じっくりファインダーを覗いて構図を慎重に決める、ということが、どうしても周りへの警戒からできなくなる。

そこは、ローマ滞在を通して常々惜しい点だったと思わされる。

ワンモアテイク

苦しまぎれで、いっそオベリスクの上がぶった切れた一枚。

まぁしゃーないね。

2.カルボナーラを食らう

で、このポポロ広場の近くで、適当に探したトラットリアに入る。

https://maps.app.goo.gl/5Ti2rRKb43jeaZsu6

All'Orsettoというローマの郷土料理の店で、おばちゃんがけっこう親切だった。

カルボナーラ(食べかけ・・・)

だいたい普段食べ物の写真を撮らない。

食べる前に写真を撮るインスタ映え厨、というかインスタ蝿がどうも好きになれん。

ので、食べ始めて、いちおう写真撮っとこうと珍しく思い直して撮った。スマホ撮影である。

まぁそんなことはどうでもよい。

問題はカルボナーラである。

元来私は、カルボナーラが嫌いである。

しつこく、ネトネトして、ギトギトして、胸焼けするからである。

イタリア料理はほとんどどんなものでも好きだが、その数少ない例外がこのカルボナーラと、ニョッキである。

今回の旅行では、あえてこの嫌いなもの二つを、果たして本場では美味しいものなのか、試したところである。

カルボナーラ、美味しい。

こんなちゃんとしたやつ食ったことない。

やっぱり、日本で食べて不味いと思ったアレは、カルボナーラではなかった。

何が違うか。

1)ソースが胸焼けしない

ローマでは、カルボナーラを名乗るために厳しい要件が定められているらしい。

その中に、ソースはチーズと卵のみを使ったもので、クリームを入れてはならない、というものがある。

このカルボナーラ、たぶん胸焼けしないのは、クリームが入っていないからである。

翻って見ると、チーズと卵のソースにクリームまでも突っ込もうとする奴の気が知れない。ブレーキ踏めよ。やりすぎだろどう考えても。

よって、今後日本でカルボナーラを見たら店員にはクリームを使っているかと聞くことにする。

なお、カルボナーラにクリームを突っ込むなどという暴挙、俗悪極まりない風習は、第二次大戦後ローマに進駐した米軍の莫迦舌どもに手っ取り早く食わせるために作った粗悪品を、進駐軍が後生大事に米国に持ち帰り、その粗悪品が太平洋経由で日本に入ったものらしい。

イタリア人は相手をよくみて商売しているものとみられる。

2)豚肉がバチくそ美味い

チーズのソースは塩味が強いのだが、クリームがないので見た目よりあっさりしている。

パスタの味を引き立てる、ではなく全体をけん引しているのが、実はソースでもパスタでもなく、豚である。

最初ベーコンかと思ったが、違うらしい。

カルボナーラを名乗る要件その2、「豚のあご肉」の塩漬けを使わねばならない。

日本でカルボナーラのレシピというのを見ていると、豚バラ肉がどうのなどと出てくるが、一度この豚あご肉の塩漬けで食べてしまうと、豚バラなど想像しただけでめまいがする。

「豚あご」こそが、カルボナーラの主役である。

全体に塩味が中心な中で、あご肉の脂のうまみが、全体の味を調える、というかリードしている。

パスタを食べるために豚が入っているのではなく、豚あごを食べるためにチーズソースのパスタがある。

かつ丼で、カツとじを食べるためにご飯があるようなもんである(?)。

日本のイタ飯は、やっぱりこっちで食べてしまうとどうしてもまがい物に見える。

他国の食文化を積極的に取り入れる開放的なフランス(というかパリに特異的?)の食文化に対して、イタリアは他国の食文化に対して保守的な印象はある。しかし、自国の料理に関しては、日本(日本人は自分たちで「日本のイタ飯結構レベル高い」と思っているらしいが)と比べて全く違う。日本は、レベルでいえばアメリカの西海岸と大差ないと思う。

本家本元のイタリアは、チーズやバター、オイル、肉や加工肉などの材料の種類と質が根本的に違うんだなぁと強く感じた。

嫌いだったカルボナーラは美味しいとわかったが、同時に本場以外では食べる気がしなくもなった。