16mm(換算24mm)/F2.8/SS15/ISO3200
かなり無理をしている。
レンズ性能の限界である。
まずもって、このレンズはAPS-C用のものであり、Z6の2400万画素のセンサーのうち、APS-Cセンサーの面積分に当たる、約1100万画素分しか使えていない。要するに、画質が本来のZ6の半分未満である。
星は地球の自転による動くため、シャッタースピード(SS)を長くすると星が流れる。
これを防ごうと思うと、一般的には、
焦点距離(mm)×SS=500
という方程式が成立するように、SSを調整しなければならない。
ここで注意すべきは、画角の指標としての焦点距離ではなく、実際の焦点距離が大事ということだ。当然である。焦点距離が大きいほど、同じ角速度で回転運動をする被写体を撮像面に投影した際に、単位時間当たりの撮像面上での移動距離は大きくなるのだから。
APS-CやMFTの場合でも、例えば焦点距離16mmであれば、その距離で500を割ればよい。
すると、30秒以上のSSを稼いでよいはずである。
しかし、この500ルールは曲者で、これが適用できるのは、北半球の場合は北天の空に限られるようだ。
北半球であれば、北極星がほとんど動かないように、自転軸の鉛直上に近づくほど、単位時間当たりの星の回転による移動距離は短い。
反対に、南に位置する星ほど、移動距離は大きくなる。
このため、南天の空を撮影したい場合には、500ルールでは足りない。
経験則上、南天の空にも適用しうるSSを導くには、先ほどの方程式の定数を200にする必要があるらしい。
すると、16mm焦点距離のレンズの場合、わずか12秒である。
これではさすがに少し暗いため、SS15で撮影した。拡大すると、少し星が流れつつあるのがわかる。
さらに厳しいのは、最大開放F値が2.8という制約である。
通常どんなレンズでも、テレ端最大開放で撮ると光学的に無理が生じ、画面端にひずみが出たり周辺減光が起こったりする。
これもまさにそうで、画面右端の方にはコマ収差(星の形が崩れてトリさんが飛んでいるような形になる)が出ている。
周辺減光は、Adobe Lightroom Classicが画像処理として消し去ってくれた(最近はこういう化学調味料的な処理がソフトでできてしまう)。
F値がこれ以上下げられないため、露出を確保するためには残るはISO感度に頼らざるを得ない。フルサイズのISO3200は決して悪くはないが、どうしても全体に若干のザラザラ感が残ってしまう。撮像面の半分以下しか使えていないことによる、画質の悪化も影響しているのかもしれない。
本来ならば、最大開放F値1.8くらいの単焦点レンズで、収差の歩留まりを見てF2.2くらいにして撮るのが良いのだろう。
仮に、焦点距離20mm、F1.8のレンズであれば、どのような設定で撮れるだろうか。
20mm画角なら、厳格に200ルールを適用すればSS10である。先ほどの16mmよりは厳しい条件となる。
例えば、
F1.8/ISO1600-2000
F2.0/ISO2000-2500
F2.2/ISO2500-3200
F2.5/ISO3200
先ほどの設定より1-2段明るい写真が、高感度ノイズを抑えながら撮れる。
超広角は画角の扱いが難しいが、洞爺湖北岸の撮影地に限って言えば、広い画角でないと風景を収めきれないため、むしろ20mmは好適かもしれない。
うーん、当面いまのラインナップで頑張って、AF-S 20mmの値段下がったら考えるか・・・。