黄泉の国へいたる道は熊野にあったとされる。
熊野川の河口から、かつては遺体を船に乗せて浄土へと送る「補陀落渡海」という水葬もされたという。
熊野は、死出の旅への入り口であった。
明日香から熊野へは、国道169号で向かった。
途中吉野金峯山寺の山を右手に見ながら、山中ん分け入る。
169号線の概要である。
国道マニア向けの国道情報サイトによると、さほどひどい路線状況ではなく、いわゆる「酷道」ではないと書かれていた。
ので、安心して走っていた。
が。
は?!
いや、めっちゃ細いけど。
なんなら前見えへんけど。
なにこれ。
どこか快走路なん?(怒
国道マニア、いや、酷道マニアとは、いかれポンチの集団である。
この程度では酷くはないということか。
熊野詣は死出の旅である。
酷道で死ぬかと思た。
水が張られるのはまさにこの時期である。
到着したのは夕方5時過ぎ。
日暮れにはまだ1時間以上ある。
カメラを持った観光客が何組もいた。
三脚を忘れるという致命的ミスにより、眺望露光撮影が極めて難しくなった。しかし、ガードレールにカメラを置いて固定することで、何とか黄昏ていく中での撮影をすることができた。
そして、得たのが次の一枚である。
ようやく見ることができた。
北海道に移る前から、一度は見てみたいと思ってかなわず、水が張られるこの機を逃すことはできないと、ようやくたどり着いた風景だった。