最近、ガソリン代が高すぎる。
しかも、北海道だと車は必須である。
先週も仙台に出張だったが、JRの特急で新函館北斗駅まで行こうとしたら、雨で欠便。
結局、新函館北斗駅までの200キロを車で行かざるをえなかった。
公共交通機関の公共性をないがしろにする北海道で生きていくには、ますます車は必須である。
ゆえに、ガソリン代の高騰は、打撃が大きい。
1.VM4レヴォーグ
ウチの車、2016年式VM4レヴォーグは、ロングドライブで疲れさせず、雪道での信頼性が高く、かつ7年前のモデルにもかかわらずeysightの信頼性と先進性はいまだにトップレベルである。
燃費も、1.5トンでターボの四駆と考えれば悪くはないが、現代的にはそうよくもない。
トリップメーターから算出した表平均燃費13.6km/lだそうだ。
先月松前など渡島半島を一周してきた際の、満タン法計測の燃費は14.05km/l。
辛くも14超えである。
先週新函館北斗まで行った際の往復燃費は、同じく満タン法で13.26km/l。
エンジン始動から停止までの走行中平均燃費を表す車の燃費計の表示燃費と比べると、一割落ちるくらいである*1。
他方、トリップメーター平均燃費=13.6km/lは、満タン法計測値により近いように見える。
では、先月の車検時のオイル交換の後でリセットしてから計測を始めたトリップメーター燃費は、果たしてこの車の本来発揮すべき性能と比べてどうなのか?
公表はされていないが、おそらくVM4レヴォーグについて、仮に最もリアルワールドの値に近いとされるWLTC燃費計測をしたら、WLTC総合値は13.1km/lくらいではないか*2?
とすると、WLTCの総合値を上回ってはいる。おそらく悪くはない。ただ、北海道の田舎という信号のほぼない地域=時速60キロで1時間走るとほぼほぼ60キロ移動できる地域では、まぁ、田舎の特典といえど意外とこんなもんか、という印象である。
2.燃費のいい車に買い替えるのは得なのか?
以上の経緯の中で、長距離を走るたびにガソリン代の負担が重く感じられてきたわけである。
果たして、燃費のいい車に買い替えるというのは、どの程度得なのだろうか?
さらに問題なのは、「いつ買い替えるのが得か?」問題である。
そもそもウチの車は、「燃費が普通」以外は結構優れたクルマなうえ、まだ丸7年の車検を通したばかりである。
もう少し乗り潰してからの方がいいのではないか?とも思う。
そこで、「車の維持コスト」を、キャッシュフローの考え方ですべて洗い出して、いったいどうするのがお得か、考えてみた。
3.車という資産の維持コストを考える。
会社の損益計算書のように、車をキャッシュフローとして見た時に、どう見えてくるか?
1)減価償却
まず、最大のポイントは、車の減価償却を考える、ということである。
クルマを買うときには購入代金をドンと払うわけだが、それでそのお金が失われるわけではない。
現金という資産が、車という資産に形を変えるだけである。
しかし、車という資産は現金と違って、年々価値が減っていく=減価償却をする。
これを、毎年のコストとして見るのである。
つまり、感覚としては、車を買うのではなくレンタルをするとして、そのレンタル料を毎年支払うのと同じ感覚で、減価償却を毎年のコストと考えるのである。
カーリースなどはまさに、償却コストをレンタル料として見る考え方である。
この償却コストを、毎年前年の残価×84%として見積もった。
これは感覚に依存するものだが、中古車マーケットで年式が1年落ちた場合の値下がり率や、中古車下取りのどんぶり勘定での見積額から推定すると、「毎年16%減」は妥当な減価率と思われる。
ちなみに税務上は、自動車は6年で資産価値0にまで減価するようだが、これは市場の実態を反映しないと思われるので無視する。
以上の推定の元、レヴォーグの減価とその他維持費を合計すると、図のようになった。
初度登録落ち | 2016.8-2017.8 | 2017.8-2018.8 | 2018.8-2019.8 | 2019.8-2020.8 | 2020.8-2021.8 | 2021.8-2022.8 | 2022.8-2023.8 | 2023.8-2024.8 | 2024.8-2025.8 | 2025.8-2026.8 | |
価格/1000 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
3600 | 3240 | 2721.6 | 2286.144 | 1920.36096 | 1613.10321 | 1355.00669 | 1138.20562 | 956.092723 | 803.117887 | 674.6190252 | 566.6799812 |
自動車税 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 |
車検 | ¥60,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥120,000 | |||||||
タイヤ | ¥140,000 | ¥220,000 | ¥120,000 | ||||||||
燃料 | ¥51,852 | ¥51,852 | ¥51,852 | ¥72,593 | ¥111,111 | ¥111,111 | ¥140,741 | ¥140,741 | ¥140,741 | ¥140,741 | |
保険 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥90,000 | ¥90,000 | ¥90,000 | ¥80,000 | ¥80,000 | ¥80,000 | ¥80,000 | |
年間コスト | ¥709,752 | ¥766,808 | ¥617,135 | ¥509,350 | ¥828,708 | ¥457,412 | ¥552,354 | ¥413,216 | ¥628,740 | ¥368,180 | |
コスト合計 | ¥1,069,752 | ¥1,836,560 | ¥2,453,695 | ¥2,963,045 | ¥3,791,753 | ¥4,249,165 | ¥4,801,518 | ¥5,214,734 | ¥5,843,474 | ¥6,211,653 |
私は昔自動車の損害保険に関わったことがある。
そこで、車は新車でも初度登録をすることで価値が1割減る、いわゆる「登録落ち」が起こるということを知った。
この登録落ち価格を基準として、資産価値が毎年16%減していくのである。
そこに保険や燃料代、車検代やタイや代などもろもろ足していくと、いろいろ面白い事が見えてくる。
例えば、購入後丸7年経った今の時点で、この車の維持にかかったコストは、なんと約480万円だということである。
すでに購入時に支払った本体価格=360万円より多い。
この中には車の減価額270万円位も含まれるが、それ以外の維持コストが積もり積もって210万円もかかっているということだ。
2)ハイブリッドに乗り換えると・・・?
では、来年の8月(レヴォーグ丸8年)の時点で、ハイブリッドに乗り換える場合を試算してみる。
燃費、北海道の雪道、先進予防安全性能などを考えると、さしずめHonda ZR-Vあたりが候補に挙がってくるだろう。
新車価格 | 4700 | 初度登録落ち | 2024.8-2025.8 | |||||||||
価格/1000 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
3896.88211 | 3507.193902 | 2946.042877 | 2474.676017 | 2078.727854 | 1746.131398 | 1466.750374 | 1232.070314 | 1034.939064 | 869.3488136 | 730.2530034 | 613.4125229 | |
自動車税 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ||
車検 | ¥60,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥120,000 | ||||||||
タイヤ | ¥200,000 | ¥150,000 | ¥150,000 | ¥150,000 | ||||||||
燃料 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ||
保険 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥90,000 | ||
年間コスト | ¥1,010,651 | ¥720,867 | ¥705,448 | ¥582,096 | ¥788,881 | ¥634,180 | ¥546,631 | ¥405,090 | ¥648,596 | ¥346,340 | ||
コスト合計 | ¥1,400,339 | ¥2,121,206 | ¥2,826,654 | ¥3,408,751 | ¥4,197,632 | ¥4,831,812 | ¥5,378,443 | ¥5,783,533 | ¥6,432,129 | ¥6,778,470 | ||
全維持コスト含前 | ¥6,615,073 | ¥7,335,940 | ¥8,041,388 | ¥8,623,485 | ¥9,412,366 | ¥10,046,546 | ¥10,593,177 | ¥10,998,267 | ¥11,646,863 | ¥11,993,204 |
クルマの価格は年々上がっているので、新車価格が470万円位になってしまうようである。
それはさておき、ZR-V購入から3年後=2026.8-2027.8年度を考えると、2027.8末時点での総コストは8,041,388円。
一方、レヴォーグに乗り続けた場合の総コストは6,211,653円である。
買い替えると、180万円位のコスト増になることがわかる。
3)買替のタイミングでコスト差は発生するのか?
では、2024年8月に買い替えた場合と、2025年8月に買い替えた場合のコスト差はどうか?
4700 | 初度登録落ち | 2025.8-2026.8 | |||||||||
価格/1000 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
4025.380975 | 3622.842877 | 3043.188017 | 2556.277934 | 2147.273465 | 1803.70971 | 1515.116157 | 1272.697572 | 1069.06596 | 898.0154066 | 754.3329415 | 633.6396709 |
自動車税 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | ¥39,500 | |
車検 | ¥60,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥120,000 | |||||||
タイヤ | ¥200,000 | ¥150,000 | ¥150,000 | ¥150,000 | |||||||
燃料 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | |
保険 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥110,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥100,000 | ¥90,000 | |
年間コスト | ¥1,029,155 | ¥736,410 | ¥718,504 | ¥593,064 | ¥798,094 | ¥641,919 | ¥553,132 | ¥410,551 | ¥653,182 | ¥350,193 | |
コスト合計 | ¥1,431,693 | ¥2,168,103 | ¥2,886,608 | ¥3,479,671 | ¥4,277,765 | ¥4,919,683 | ¥5,472,815 | ¥5,883,366 | ¥6,536,548 | ¥6,886,741 | |
全維持コスト含前 | ¥7,275,167 | ¥8,011,577 | ¥8,730,081 | ¥9,323,145 | ¥10,121,238 | ¥10,763,157 | ¥11,316,289 | ¥11,726,839 | ¥12,380,022 | ¥12,730,215 |
2024年8月に買い替えた場合と、2025年8月に買い替えた場合で毎年のコスト差を比較すると、以下の表のようになる。
2025.8-2026.8 | 2026.8-2027.8 | 2027.8-2028.8 | 2028.8-2029.8 | 2029.8-2030.8 | 2030.8-2031.8 | 2031.8-2032.8 | 2032.8-2033.8 | 2033.8-2034.8 | 2034.8-2035.8 | |||
2024買替-2025買替 | ¥60,774 | ¥29,812 | (¥106,596) | ¥89,221 | (¥74,693) | (¥169,980) | (¥318,021) | (¥79,976) | (¥386,818) | (¥129,365) | (¥428,305) |
(かっこ書き)は、マイナスを意味する。
つまり、2024年に買い替えた方が、2025年に買い替えるより安く済む年があることがわかる。
そして、年数がたつほどに、早く買い替えた場合のコストの方が安くなることがわかる。
これは、買替の売却時の下取り価格が、早く買い替えた方が高くみられる(つまりその分減価損を抑えられる)ことが関係しているようだ。
ウーン。。。
4.コストのことはいろいろ分かったけれど・・・
かといって、今すぐ買い換えられるかというと、いろいろ問題がある。
手元資金がないわけではない。
しかし、肝心のクルマが売られていないのである。
どういうことか?
半導体不足で、納期がえげつないことになっているのである。
Hondaによると、ZR-Vは納期が半年以上で未定、市井では1年待ちのようである。
あほらしくて手が出せない。
しかもHondaは、Honda Sensing 360という、いわばeyesight Xに準じるクラスの高性能予防安全システムを、近々投入する予定である。
どうせ買うなら、それがZR-Vに実装されてからにしたい。
このように、肝心要の、車という商品自体がイマイチなのである。
なんとも悩ましい限りである。