手軽な一揆の起こし方

エセ評論家の生活と意見

マイクロフォーサーズvsフルサイズ 比較(Olympus v.s. Nikon)

 

わざわざ出張などの用事で遠方に出るだけなのににフルサイズ(1.4kg)を持っていかなけれならない(訳ではないのだが)のに疲れ果てたので、行楽以外での外出用のマイクロフォーサーズを買ってしまった。

 

Olympus OM-D E-M5 Mark III

 

センサーサイズの小ささからボディもレンズも等比級数的にコンパクト化する優れたシステム、「マイクロフォーサーズ」OM-D E-M5 Mark IIIとニコンの「フルサイズ」Z6のセンサー性能比較をしてみた。

※レンズ性能比較ではない。

 

1.RAWを無調整のままJPEG変換したものの比較

Olympus: 35mm, ss 1/250, F/10.0, ISO 200

Nikon: 70mm, ss 1/250, F/10.0, ISO 100

ISO感度以外はすべて同じ条件にした。

ISO感度はMFTが200に対してフルサイズは100と、倍半分の差である。

しかし、それぞれのカメラの露出計はEV+0.3と、ほぼ同じ値を示していた。

マイクロフォーサーズ(MFT)のセンサーはフルサイズのほぼ半分である。

よって、センサーに当たる光の量はフルサイズの半分になる。

よって、フルサイズのセンサー感度(ISO)と同等の露出にするには、MFTの場合ISO200(フルサイズの2倍=EV1段分の感度増大)をさせることとなる。理屈上は。

しかし実際にとってみると、MFTの方が明るく撮れているように見える。

カメラ内露出計の値に頼ったことで、メーカーごとの露出基準の差が顕在化したのだろう。

また、Olympusの方は高輝度側階調優先設定のため、RAWデータでありながら、撮影した後で自動的に露出を引き上げる(ISO感度をデータ処理で引き上げる)処理をしているともいわれる。

こうしたデジタルデバイスとしてのデータ処理によって、理論上の露光量を同等にしても、かなり明るさに違いが出ることが分かった。

次の二枚は、最初に挙げたOlympusの写真と、Z6で撮った写真をLightroom CCでEV+0.98≒1.0引き上げた写真である。

1枚目のOlympus

Z6で撮影した写真をEV+0.98引き上げ

かなり近い露出になったように見える。今度は、少し後者の方が明るい。

Olympusは、RAWデータをカメラ内で自動的にEV+0.5~+0.7引き上げているようだ。

 

拡大してみるとわかるが、フルサイズの方は、たとえ暗く撮ったものでも、黒い岩陰の部分がつぶれずに、きちんと岩肌の質感が記録されている。ダイナミックレンジが大きい、ということである。

この点、MFTは少し潰れている感がある。(これはレンズ性能の差もあるかもしれないが)

 

また、MFTの方がノイズが乗っているのもわかる。もともと、Z6に搭載されるSONYのセンサーはノイズが非常に少なく、フルサイズ=低ノイズセンサーというもともとのセンサー特性以上にきめが細かい。

他方、MFTはセンサーサーズがフルサイズの半分であり、ノイズの乗り方は感覚的に2倍といわれる。つまり、MFTのISO200はフルサイズのISO400相当である。加えて、Olympusは同じMFT勢でもLUMIXよりハイノイズであるといわれていて、これは先述のEVを引き上げるメーカー特性も関係している。Olympus特有の事情によってさらにEV+0.5とされるのであれば、概ねフルサイズのISO600前後と同等といえる。

ノイズ自体は、必ずしも悪いとは思わない。

繊細美麗をコンセプトにする写真ならばノイズは邪魔にもなろうが、スナップなどであればむしろ味わいにもなる。

 

2.MFTで複数の露出で撮った写真同士の比較

では、Olympus露出オーバーで撮ってハイライト補正をかけるべきか、露出アンダーで撮ってシャドウ補正をかけるべきか?

35mm, SS1/400, F/10.0, ISO200

35mm, SS1/160, F/10.0, ISO200

上の2枚は、異なるシャッタースピードで撮った写真を、Lightroom CCで、ヒストグラムがだいたい同じになるように補正した2枚である。

前者は暗く撮って明るく補正したもので、後者は明るく撮って暗く補正したものである。

ほぼ違いはないのだは、こころもち、後者=明るく撮って暗く補正したほうの方がノイズが少ない。

前者は、暗く撮った後で、カメラ内で自動的に明るく補正をかける(=ここでノイズが乗る)処理がされ、それをさらにLightroomで明るくしているから、二重にノイズが乗る。後者はカメラ内処理でノイズが乗るが、Lightroomの処理ではノイズを載せていないため、少し、本当にほんの少しだが、ノイズがましになる。

OlympusのMFTは、明るめにとって暗めに補正するのが、今のところの使い方の方針である。

 

3.MFTとフルサイズの色味等の違い

 

Olympus: 30mm, SS 1/100, f/9.0, ISO 200

NIKON: 49mm, SS 1/100, f/9.0, ISO 100

ホワイトバランスはオートのため、各メーカーのホワイトバランス設定がもろに出ている。

ニコンはクールな青と赤強めに、オリンパスは緑強めに出ているように見える。露出も3分の2段近く違うため一概には言えないが。

概して、フルサイズの方が階調が豊かでしっとりしたカラー表現になっているように見える。また、画角が一致していないため誤差はあるが、フルサイズの方が相対的に後景のボケが大きい。これはフルサイズの大きいレンズの特徴である。

 

4.その他MFTの特徴

Olympus

曇っていて霞も出ていたが、その霞をきちんと解像させる力のあるセンサーとレンズである。

Olympusの12-45mm F4.0のレンズは歪曲なども少なくきちんと移る良いレンズだと思う。(尤もNIKKOR Zレンズがバケモノ級に高性能なので、これと比較するとやや劣るが)。

Olympus

MFTの特徴として、フルサイズに比べてダイナミックレンジが狭い分、コントラストが強くなる。陰影の強い写真を撮るならば、MFTはむしろ得意分野といえる。

Olympus

微妙な陰影も、きちんと写し取っている。

SS 1/15

また、MFTの特徴として、とにかく手振れ補正が強い、というものがある。特にOlympusは手振れ補正が強力なことで知られており、E-M5 Mark IIIは手振れ補正機能では上から2-3番目のはずだが、十分に強力である。

 

いろいろと試し撮りをしてみて、MFTの強み・弱みと同時に、翻ってフルサイズの長所短所も整理しなおすことができた。

次に機会があれば、APS-CのD7500の比較検証もしていきたい。