1.朗報!
2015年春シーズンに第一期放送が開始された、京都アニメーション制作のテレビアニメシリーズ、ついに完結編を迎える。
2019年の痛ましい放火事件のあと、果たして今後どうなるのかと思い、もう続編が作られることはないのかもしれないと半ばあきらめていた。
しかし、2020年のヴァイオレット・エヴァーガーデン劇場版、今年のFree!劇場版完結編と制作は進められ、ついに近作品の完結編が、テレビシリーズで放映されることが告知された。
2.概要
高校吹奏楽全国コンクール、いわば吹奏楽の甲子園を目指す部活モノ。
20年ほど前に、所さんの「笑ってコラえて!」の企画で一般にも注目されるようになったのが、吹奏楽全国大会、通称「普門館」だった(今は会場だった東京の普門館は解体され、名古屋のナディアシティあたりで行われているらしい)。
弱小吹奏楽部が、気鋭の若手指導者を得て成長していく姿を描くが、決して勝負に勝つことを軸に据えたスポ根というわけではない。
どちらかというと、一人一人が音楽に乗せる思いを描く群像劇だ。
主人公が1年生で入部してから、今回発表された完結編で3年生を迎え部長となり、フィナーレを迎えるまでを描き切ることで、1年生編・2年生編(劇場版で公開済み)・3年生編と、彼女を中心とした複層的な群像劇となる。
3.京アニの現状
上場企業ではないため、株主向けの報告書等が公開されているわけではない。
しかし、公開ペースはかつてほどではないものの、着実に作品をひとつずつ世に出していってはいる。
今回発表された「響け!」シリーズは、昨年の「小林さんちのメイドラゴンS」以来のテレビシリーズであるだけではない。
「メイドラゴン」やその前の「ツルネ」などは、若手スタッフを多く起用した次世代のクリエイターたちの才能を開花させる場のような位置づけと思われる。作品自体の作画のカロリーは、特に背景などは京都アニメーションにしては低く抑えられていた(といっても丁寧に作りこまれているが)。
他方「響け!ユーフォニアム」は、監督:石原立也、シリーズ演出:山田尚子と主軸が指揮を執り、背景作画や人物作画も、目の虹彩やら陰影やらまで極めて細かく描きこまれた、いわば「フルスペック」の作品だ(もっとも、本作のシリーズ開始後に作られた「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が作画のクオリティでさらに上を行ってしまったようだが・・・)。
そうした作品がテレビシリーズで復活するとなれば、京都アニメーションの回復の一里塚といえるのかもしれない。